がん細胞が100分の1に減る脳腫瘍抗がん剤新薬

悪性脳腫瘍「グリオブラストーマ」の再発を抑える効果の抗がん剤新薬が、マウス実験で発見された。

脳腫瘍の中でも「グリオブラストーマ」は治療が困難とされており、外科手術、放射線治療や抗がん剤で初期治療が成功しても、がんが再発する場合が多いことが問題だった。

しかし、腫瘍を作り出すがん幹細胞の維持に必要な分子に着目し、この分子の機能を抑える効果のある薬剤をマウスと投与したところがんが抑制されたのだ。

実験では、腫瘍を脳に移植したマウスに対して、この抗がん剤新薬を5日間投与した。すると、腫瘍の中のがん幹細胞は10分の1以下に大幅に減少した。さらに、がん幹細胞を脳に移植したマウスでは、10日間の薬剤投与によって、 がん幹細胞を10分の1~100分の1以上に激減させる効果があったのだ。しかも、脳の機能には影響が無く、生存期間も延長することができた。

脳腫瘍の抗がん剤新薬は、山形大と国立がん研究センターの研究チームが開発し、今後は治験への期待が高まっている。

研究論文は、英科学誌サイエンティフィック・リポーツへ発表された。

最終治験開始のミセル化ナノ粒子製剤乳がん治療新薬

乳がん、非小細胞肺がん卵巣がん、胃がん治療用の抗がん剤新薬「NK105」が、転移・再発乳がんを対象に実用化の最終段階である第III相比較臨床試験を開始した。

既存の卵巣がんや非小細胞肺がん、乳がん、胃がんの治療向け抗がん剤 「パクリタキセル」が世界的に普及しているが、抗がん剤自体の副作用だけでなく、製剤化の際に使うアルコールを基にした特殊な溶媒が原因の副作用も生じる欠点があった。

新開発の抗がん剤新薬「NK105」は、「パクリタキセル」を高分子ポリマーのカプセルに封入したミセル化ナノ粒子製剤であるため、課題であった副作用が大幅に軽減できる特徴がある。

乳がん向けの新薬として承認後は、卵巣がん、肺がん、胃がんへの新薬申請・承認も順次に実施される見込みだ。