最新放射線がん治療は効果大で副作用無し

重粒子がん治療機関が、3年後5カ所へ

重粒子線治療は切開しない がん手術。 放射線の一種である重粒子線の高いエネルギー粒子を、がん患部だけをミリ単位の精度でピンポイントで狙い撃ちする体の深部にで集中照射する。

体への負担が大きい手術が受けられない高齢者や持病持ちのがん患者でも、重粒子線によるがん治療は選択が可能だ。約5週間入院し、計20回前後の照射を受ける。 照射は週4日で1回につき わずか1分程度。照射中にも痛みや不快感は殆ど感じられない。さらに、治療のスケジュールに合わせて、外出が自由なので仕事の兼務も可能。照射がない週末は自宅への帰宅もできる。

一般の放射線がん治療につきものの、照射制度が高いために副作用は殆ど無い。

周囲の正常な組織を傷つけにくいため副作用が少ないのだ。しかし、肝心のがん細胞を死滅させる効果は強力で、従来の放射線治療では難しかった10センチ大の大きな腫瘍や骨肉腫などにも対応することができる。

<稼働中の重粒子がん治療機関>

  • 放射線医学総合研究所(千葉県千葉市)
  • 群馬大病院 (群馬県前橋市)
  • 兵庫県立粒子線医療センター (兵庫県たつの市)

<稼動予定の重粒子がん治療機関>

  • 九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県鳥栖市:2013年稼動予定)、
  • 神奈川県立がんセンター(横浜市:2015年稼動予定)
  • 山形大付属病院(計画中)

問題は、コストだ。
重粒子線を発生させる加速器が大規模なために施設の建設費は約120億円と巨額。これが原因で治療費の患者負担は、今のところ300万円前後と高額なのだ。

大腸がん末期でも新薬で2年延命

大腸がんは結腸と直腸にできるがん で、食生活の洋風化で日本でも増加傾向だ。
既に男性では、胃がんに次いで2番目、女性でも乳がんに次いで2番目に多いがんとなっており、日本では年間約10万人が大腸がんになり、そのうち約4万人が亡くなられている。

早期の大腸がん場合は小さなポリープなので、内視鏡で比較的容易に手術が可能です。しかし、少し大きくなると、腸を20~30cm切除して繋ぐ手術が必要になる。手術後に取り残したがんがある場合や、がんが再発した場合は、抗がん剤による化学療法で治療を行う。

抗がん剤は保険承認されている内外格差が問題になることが多い。しかし、大腸がんの抗がん剤は海外との差がなく多くの抗がん剤が承認されているため治療に利用可能。利用可能な大腸がん用の抗がん剤は、フルオロウラシル、イリノテカン、オキサリプラチンの3種類と抗VEGF抗体など分子標的薬2種類、計5種類。 7年前では大腸がん用の抗がん剤は、わずか2種類に限られていたのと比較すると、保険診療が適用できる抗がん剤が5種類に増えたのはがん患者には福音だ。中でも、2005年に「オキサリプラチン」の承認が出たことが大きかった。

大腸がんから、肝臓へ転移がんが確認されてしまうと、一昔前ならがんが大きくて手術できない=末期がん とされた症例だ、しかし、最新の抗がん剤治療でがん病巣を小さくすることによって、手術できるようになる可能性がある。それほどに、新しく登場した分子標的薬の抗がん剤は、副作用が少なく、主にがん細胞を攻撃してくれるのだ。抗がん剤治療にあたる医師の技量は、がん患者個々に異なるがん細胞の性格を観察しながら、使う抗がん剤を変えていくことで測られる。

余命宣告を受けるような大腸がん、いわゆる末期がんの状態からでも、新薬の抗がん剤を適切に利用することによって、半分以上の末期がん患者が約2年間以上の余命を全うしているのだ。大腸がんの末期がん宣告はまだまだ希望を捨てる必要は無く、回復への努力を怠るべきではない。

このように日本での大腸がん治療は、保険適用で使える抗がん剤が豊富で、外科手術の成績もよく、結腸がんの治療成績は世界トップレベルにある。それでも早期発見、早期治療に勝るがん治療法は無く、定期的にがん検診を受けて、早期発見することが絶対的に重要だ。