末期肝臓がんの生存期間を延長する新治療法

転移した末期肝臓がん に対して新しい治療法によって生存期間が2~3倍に延ばされた。

新しい転移肝臓がんの治療方法は「放射線塞栓療法」だ。 「放射線塞栓療法」は。「選択的体内照射療法(SIRT)」とも呼ばれ、放射性物質(イットリウム)の微小球(SIR)を用いてがんを治療する新たな治療手法だ。治療は微小球を放射線医が設置し、健康な肝臓組織には影響を与えずにがん細胞だけに放射線を照射される。

肝臓がんの多くは、結腸直腸がんの患者でもある。結腸癌、直腸癌患者の約半数が がん転移によってがん原発部位から肝臓へがんが広がってしまうのだ。そして、結腸がん、直腸がんのがん患者の約9割が、がんの広がりによる肝不全が主因で死に至る。 結腸がん/直腸がんは、2008年には米国で15万3000人、欧州では33万3000人が発症した西欧に発症率の高いがんだ。

動物性タンパク質過多、食物繊維の不足が原因とされる食生活に密接した がん である一方、アジアでは刺激物が好まれる韓国での発症例が多いことが特徴だった。 しかし、日本でも食の西洋化が進み、近年は患者数が激増している危険ながんなのだ。

新治療法の臨床試験は、化学療法が難しいとされた肝臓がん患者463人へ実施された。

結腸がん・直腸がん から肝臓がんに がん が転移した251人の患者のうち放射線塞栓療法を受けた220人の患者の平均生存期間は11.6ヶ月だった。 これに対し残りの標準治療法を受けた31人の患者では6.6ヶ月だった。つまり、新治療法の効果は、生存期間が約2倍に延びたのだ。

その他、すい臓がん、乳がん、胃がん、胆嚢がん、神経内分泌がん、肝細胞がん 等から肝臓へがんが転移した患者に対しても研究がなされた。対象のがん患者212人のうち新治療法で治療を受けた180人の患者の平均生存期間は9.5カ月だったが、 従来の標準的な治療法を受けた32人の患者は2.6カ月だった。この場合、新治療法は生存期間を約3倍にも延ばしたのだ。

転移肝臓がんの新治療法として、放射線塞栓療法は従来の標準がん治療法よりも2倍~3倍の生存期間の向上と、 大幅な病状改善に効果があると実証されたのだ。

転移肝臓がんの新治療法「放射線塞栓療法」を研究しているのは、オーストラリアのシドニーにあるセント・ビンセント病院。研究論文が腫瘍外科学会の第65回年次がんシンポジウムで発表された。

放射線塞栓療法は、さらに治験を継続しつつ、次は肝細胞がんへの適用が模索されている予定されている。