最新がん治療法でがん細胞45%減

炭素でできた新素材「カーボンナノチューブ」によるがんの新治療方法が開発された。「カーボンナノチューブ」は炭素原子が直径数ナノメートル(ナノは10億分の1)に六角形に結合した円筒形物質。鋼鉄より硬く、弾力性があり、電気や熱を通す性質がある。

がんの新治療法は、カーボンナノチューブへ近赤外線を照射することで活性酸素を発生させ、活性酸素によって治療部位のがん細胞を死滅させる。

京都大の研究グループが実験に成功した。

カーボンナノチューブに対して、光を照射すると熱や活性酸素が発生することは既知だった。今回の新治療法では、人体への影響が少なく透過性が高い赤外線「近赤外線」を利用する。カーボンナノチューブの「半導体性」と呼ばれる性質を持った部分だけが近赤外線を吸収して活性酸素を発生するのだ。

ヒトの肺がん細胞とカーボンナノチューブを混ぜて近赤外線を10分間照射した実験では、熱による影響も含めて45%ものがん細胞が死滅した。

微量のカーボンナノチューブを血管から注入して、患部に近赤外線を照射する新治療法が検討されている。

がんの予防効果実証されたサプリメントとは

サプリメントのマルチビタミンを毎日飲むことで、がんのリスクが減らせる ことが実証された。

米国で男性1万5000人を対象とした長期の臨床試験(治験)が実施され、ビタミンのサプリメントのがん予防効果が確認された初めての大規模治験となった。

平均11.2年間を追跡調査されたマルチビタミンのサプリメントを服用した男性被験者群はプラセボ(偽薬)投与群と比較して、がんの発病率が8%も減少したのだ。

ただし、このリスク減少に多大な期待は禁物で、主流のがん予防が、禁煙、抗肥満、健康的な食事、継続的な運動であることには間違いない。マルチビタミンを摂っていても喫煙を続ければ、がんリスクは高いということだ。

国立衛生研究所(NIH)が資金提供して製薬最大手ファイザーが実施したこの大規模治験の結果は、米国がん研究会議(AACR)で発表され、米医学学会誌(JAMA)に掲載された。